問題は本当にいずれは元にもどるのかということ

 米国のバルブ景気こそが高品質・高付加価値のトヨタソニーの生産販売計画を支えていたことが今や明白になった。
 逆にいえば今回の世界的なバブル崩壊トヨタの世界販売計画だけでなくソ連など共産世界の崩壊後、グローバリズムで繁栄を謳歌した資本主義社会のありようを根底から変えてしまう可能性があるのということではないか。
 
 こころみに日本経済新聞のホームページを開くと
トヨタ自動車など乗用車8社の今年1—3月の国内生産台数は170万台前後にとどまり、前年同期を4割強下回る見通しになった。トヨタの2、3月の生産台数は前年のほぼ半分と、石油危機に見舞われた1970年代前半の水準に落ち込む。日産自動車やホンダも3—4割の減産に踏み込む」
とある。「トヨタの2、3月の生産台数は前年のほぼ半分」というのはほとんど恐慌である。
 問題は本当にいずれは元にもどるのかということだ。「景気循環」からいえばいずれ不況を脱し、好況に向かうのだろう。しかし従来の世界(特に米国の)需要があのサブプライムローンなどバブリーな仕組みに支えられて生じた過大で贅沢三昧な需要なのだとしたら、好況が循環してきても元の需要規模には戻らない恐れのほうが大きいと考えるべきではないか。まっとうな需要でどこまで肥大した世界規模の資本主義を支えうるのか改めて考える必要がある。
 おそらくそこまで突出した需要はもう出ないだろう。だとすればがむしゃらに自由を唱える路線は破綻せざるを得ず、みなでシェアしようといういう考え方のほうが主流になるに違いない。
 おそらく浮かれたような景気によって沈黙を余儀なくされてきた考え方がこれを機会に一気に表に出てくるだろう。新保守主義市場原理主義により 米国だけでなく世界経済を崩壊の淵に追い込んでしまったことを考えれば次に出てくるのは、あの学生運動の時代状況とは違うけれど間違いなく相当程度にリベラルなもであるはずだ。